イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「……俺がお前を購買から引き抜いたのには、当然だが理由がある」
少しだけ柔らかくなった口調と、その言葉に反応して、少し顔を上げた。
すぐそばにやってきた彼が、漆黒の瞳で私をまっすぐ見つめ、力強い声で告げる。
「坂本の能力を買ってここに連れてきたんだ。お客の要望の一歩先を行くお前なら、必ず俺達の力になると思ったから」
私に期待してくれていたらしい言葉に驚き、目を見開いた。
“お客の要望の一歩先を行く”とは、どんなところを見て言っているのかはわからない。けれど、部長はいつの間にか、自分でも気付かなかった私の良い部分を見出だしてくれていたのだろう。
それなのに、私はこのまま逃げていていいのかな。
以前、田沼部長との一件の時にも部長は言っていたじゃない、『やってもいないのに無理だなんて言うヤツは甘い』って。
私、部長に失望されたままでいたくない──。
「俺の見込み違いだったか」
ふっと冷笑を浮かべて、彼は私のもとから離れていく。自分に対する悔しさが込み上げてきて、スカートの横でぐっと手を握った。
デスクに戻った部長は、いつもの平静さに戻って独り言のようにこぼす。
「……ま、今回は急だし仕方ないな。購買の部長にでも頼む──」
「やります!」
とっさに口が動いて、私の声がオフィスに響き渡っていた。
少しだけ柔らかくなった口調と、その言葉に反応して、少し顔を上げた。
すぐそばにやってきた彼が、漆黒の瞳で私をまっすぐ見つめ、力強い声で告げる。
「坂本の能力を買ってここに連れてきたんだ。お客の要望の一歩先を行くお前なら、必ず俺達の力になると思ったから」
私に期待してくれていたらしい言葉に驚き、目を見開いた。
“お客の要望の一歩先を行く”とは、どんなところを見て言っているのかはわからない。けれど、部長はいつの間にか、自分でも気付かなかった私の良い部分を見出だしてくれていたのだろう。
それなのに、私はこのまま逃げていていいのかな。
以前、田沼部長との一件の時にも部長は言っていたじゃない、『やってもいないのに無理だなんて言うヤツは甘い』って。
私、部長に失望されたままでいたくない──。
「俺の見込み違いだったか」
ふっと冷笑を浮かべて、彼は私のもとから離れていく。自分に対する悔しさが込み上げてきて、スカートの横でぐっと手を握った。
デスクに戻った部長は、いつもの平静さに戻って独り言のようにこぼす。
「……ま、今回は急だし仕方ないな。購買の部長にでも頼む──」
「やります!」
とっさに口が動いて、私の声がオフィスに響き渡っていた。