イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
部長と、皆の視線が再び私に向けられる中、表情を引き締めてしっかりと言う。


「私、やってみます。どの商品を担当するのか教えてください」


不安だけど、期待に応えたい気持ちの方が上回る。やってみようと決意すると、徐々に気持ちが前向きになってくるから不思議だ。

私を見つめたままの部長は、さっきとはまるで違う笑みをふっと浮かべた。

優しさの中に強さを秘めたような、魅力的な笑みを。


「お前ならやれる。俺が保証する」


心強い言葉をもらえて、私も少し表情を明るくして頷いた。




午後はホテルに移動して、会場の準備に取り掛かった。

人が通れるスペースを開けて、各メーカーと、自社商品の調味料やレトルト品などの種類ごとに分けて、テーブルを並べる。そこへ商品のサンプルが入った段ボール箱や、カタログを運び込んだ。

各メーカーの営業さん達も、それぞれ準備をしている。その賑やかな会場内で、私は部長に連れられてひとつのテーブルの前にやってきた。


「ここが小沢の担当だったところ……明日、お前に立ってもらう場所だ」


すでに準備されたそこには、ピザやヨーグルトの写真が載ったパンフレットがいくつか置かれている。それを見て、すぐに担当するものがわかった私は、隣の部長を見上げた。

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