イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
こっちが赤面しそうな話の内容からして、明らかに親密そうな空気が漂っている……。もしかして恋人同士?

ふたりのやり取りに気を取られていると、男性の方が私に目線を向け、にこりと微笑んだ。

少しクセのあるブラウンの髪に、切れ長の瞳。セクシーさを感じる容姿が、どことなく部長と似ている。


「こんにちは。俺達、給食会社に勤めてるんですよ。これ使えそうですね」


一瞬見惚れてしまいそうになるも、すぐに気を引き締め直して「はい!」と返事をした。


「普通のヨーグルトよりも熱に強く凝固しにくいので、火を通す料理にも最適です。デザートはもちろん、パスタのソースやサンドイッチの具としても使えます」


そうして、私は急きょ昨日の夜から用意した紙を手に取る。簡単に料理のレシピを書き、午前中に印刷したものだ。

早乙女くんの話と、以前ユウヤケで食べた料理に、“ギリシャヨーグルトを使っているんですよ”と店員さんが言っていたことを思い出し、レシピを調べて提案してみようと思って。


「オムレツやカツの中に入れても、チーズみたいに濃厚ですごく美味しいんですよ。簡単なレシピがありますので、こちらもよろしければ」


B5サイズの用紙を手渡すと、髪の毛を緩いおだんごにした彼女が、ぱっと表情を輝かせる。


「あーこれ絶対美味しいですね! やりましょうよ、部長!」

「財布と相談」


淡々と答える彼も、若いのに部長様なのか。と感心しながら、また別のパンフレットを差し出す。

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