イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「朝、これを書いてきたって言われた時は驚いたよ。こんなのよく考えたな」

「早乙女くんから、部長が“お客様にレシピも提案するといい”っていうアドバイスしてくれたって話を聞いてたので」


感心したように言われてちょっぴり照れながら、早乙女くんから聞いたことを簡単に伝えた。


「へぇ、アイツがそんな話をね」


部長はレシピを見ながら、柔らかに微笑んだ。

そんな彼を見ていると、“部長専属のシェフがいたんですか?”という質問が、喉元まで出かかる。けれど。


「俺に言われたからじゃなくて、自分から進んで、いいと思ったことをやってくれるとすげぇ嬉しいよ」


そう感慨深げに言われ、聞くタイミングを逃してしまった。

「俺の目に狂いはなかったな」と得意げにする彼は、本当に嬉しそうに見えるから、私も喜びが込み上げてくる。

でも、これだけは聞いておきたい。


「……部長、どうして私がお客様の一歩先を行ってるだなんて思ったんですか?」


昨日から気になっていたことを問い掛けると、彼は少し考えを巡らせるように目を伏せた後、レシピをテーブルに置いてこんなことを言う。


「俺とお前が初めて話した時のこと、覚えてるか?」


部長と初めて話した時のこと……?

キョトンとしつつ、私は記憶を遡らせた。

< 130 / 320 >

この作品をシェア

pagetop