イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
■4th STAGE■
“俺専属シェフ”の正体
展示会が終わり、あっという間にニ週間が経とうとしている。
部長が私を抱き寄せていた場面を見ていた人達のおかげで、私達は相当ラブラブな夫婦だという噂が確固たるものになっていた。
ふみかから聞いたけれど、どうやら購買部にも噂は流れているらしい……。購買部長はただの噂だろうと、信じていないらしいけれど。
苗字は変わらなくても、結婚したら一報するのが常識。私も部長もそんな報告なんてしていないのだから、信じなくて当然だ。
でも、そうなると総務部の方ではどうなっているのだろうと、今さらながら疑問が湧く。
苗字はそのままでも、結婚すれば一緒に住むのだから、住所は変更しなければいけないし、お祝い金も貰えるのだと聞いている。もし総務部でも私達の噂が広まっていたら、何も手続きをしていないことから確実にバレてしまうはずだ。
それなのに、何も問題になっていないということは、まだ噂が広まっていないだけなのだろうか……。
「……一葉?」
窓の外を流れていく景色をぼうっと眺めながら、物思いにふけっていると、すぐ隣から声がして我に返った。
振り向けば、運転席に座り片手でハンドルを握る偽りの旦那様も、いつもの涼しげな瞳でこちらをちらりと見る。