イケメン部長と（仮）新婚ライフ!?
──トクン、と胸が鳴る。まさか、部長がそんなことを言うなんて。

……ダメだよ、やめてください。勘違いしそうになっちゃうじゃないですか。

部長も私のことを想ってくれているのかも……って、あるはずもない勘違いを。


今日のデートは、仕事で頑張ったご褒美。皆よりちょっとプライベートに踏み込んだ仲だから、少し特別扱いしてくれているだけ。

そう思う反面、どうしても嬉しさは込み上げてしまって、緩みそうになる口元をきゅっと結んでいた。



結局、どこで昼食をとるかは街をぶらぶらしながら一緒に決めることにした。

おおよそ予定通りに着き駐車場に車を停めると、タイミング良く部長のスマホが鳴り出す。エンジンを切って彼が電話に出ると、男性らしき声が漏れ聞こえてきた。


「お疲れ様です。どうしたんですか？　土曜日なのに珍しい」


抑揚のない声で話す部長の言葉から察するに、会社の誰かだろうとわかる。敬語を使っているけど砕けた感じもするし、重役の誰かかな。

勝手に推測していると、少し仕事の話をした部長の口から、こんな言葉が出てきた。


「え？　今東京にいるんで無理ですよ。……まぁ、そんなとこです」


私を横目で一瞥する彼と視線が合った、その時。

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