イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
あれ? でも、私達が結婚していると総務部長が思っているなら、何も問い質されないのはおかしいんじゃ……

という疑問が浮かんだ直後、電話の向こうから驚くべき発言が飛び出した。


『ついでに、本当に婚姻届も出してきちゃいな! そしたらちゃんと受理証明書見せるんだぞ』

「…………へ?」


一瞬、思考が停止した。

だって今、“本当に婚姻届も出してきちゃいな”って言いましたよね? ということは……佐原部長、私達が偽装夫婦だって知ってたの!?


「えぇぇっ!?」


この短時間で何度も叫び声を上げて固まる私の手から、部長がスマホを奪い取る。


「……一葉に何言ったんですか」


かったるそうな声で言う彼は、二言三言話すと、「もう切りますよ。では」と言って、あっさり画面をトンッとタップした。


「よし、行こう」

「ちょっ……!」


部長はさっさと車を降りてしまい、慌てて私も後を追う。

この間買ったばかりの、オフホワイトのミモレ丈スカートをひらめかせながら、地元よりも少し暖かい都会の地に降り立った。


「どどどどういうことですかっ!?」


人が行き交う街中を慣れた様子で歩く部長に、早足で駆け寄って問い詰めると、彼は前を見たまま口を開く。

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