イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「あの人は俺達のこと知ってて黙ってんだよ。噂を耳にしたらしく、どういうことだって問い質されて。『結婚してないけどそういうことにしてる』って言ったら、頼んでもないのに口裏合わせることにしたらしい」

「佐原部長、物分かり良すぎじゃないですか……」


少々呆れも交えつつ、感心したように呟いた。

部長のテキトーな返答で、私達の関係をある程度理解したってことでしょう? しかも口裏合わせてくれているって、めちゃくちゃ空気読んでくれているし!

まさか知っていたとは驚きだけれど、さっきまで少し疑問に思っていたことにもこれで説明がつく。


「じゃあ、総務で噂が広まってたとしても問題にならないのは、佐原部長のおかげ?」


問い掛けるでもなく自分の考えを口にすると、部長は小さく頷いた。


「何か聞かれても受け流してるらしいぞ。あの人はただ面白がってるだけだろうが」

「へぇぇ……」


遠くに見えてきた、青空に映えるレインボーブリッジを眺めながら、私は苦笑いした。

やっぱり佐原部長って変わり者なんだ……。普通こんなことがバレたら、この関係は即やめさせられるだろうし。

うちの会社は特に社内恋愛を禁止していないけど、部署異動くらいはあるかもしれない。そうされないのはありがたいことだ。

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