イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
でも、料理というと思い出してしまう。早乙女くんから聞いた、部長と深い関わりがあったであろう人のことを。


「……あの、ひとつ質問なんですけど」

「ん?」

「部長には、専属のシェフがいたんですか?」


食事する手を止め、ずっと気になっていたことを思い切って尋ねてみた。なんか緊張する……けど、わからないまま悶々としていたくないし。

スープを飲んでいた彼は、目線を私に向けてぽかんとする。


「は?」

「あ、えっと……前、早乙女くんから聞いたんです。料理ができるのかって話になった時、部長が『俺専属のシェフに知識だけ叩き込んでもらった』って言っていたって……」


真意を探るように上目遣いで見つめていると、部長は考えるように視線を宙にさ迷わせる。


「あー、そういやそんなことも言ったかな」


心当たりはあるようで、目を細めて呟いた。

そして、はっきり思い出したように、私をまっすぐ見据えて真実を告げる。


「それは兄貴の嫁のことだ」


予想もしなかった答えが返ってきて、拍子抜けした私は「へっ!?」と間抜けな声を上げた。


「部長、お兄さんがいたんですか!」

「あぁ、四つ上のな。アイツの嫁が調理師でレストランで働いてるから、営業でタメになりそうなことをいろいろ教えてもらってたんだ」

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