イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
部長が次男で、お兄さんはもう結婚していて、その奥様から料理を教えてもらった。その事実を初めて知り、目をパチパチとさせる私に、部長は少し意地の悪い顔を見せる。
「他のレストランに営業する時に役立つから、厨房の内部事情を教えてもらったりもしたんだよ。旦那の弟っていう特権で、特別にな」
なるほど、それで部長専属だったわけか……。
彼の様子を注意深く観察してみても、嘘をついているようには見えないし、何より私に嘘をつく必要はないのだから、きっとこの話は本当なのだろう。
「本当にシェフだったんですね……」
「何だと思ったんだよ」
部長がほんの少し怪訝そうにするから、私は笑ってごまかした。
でも、ちょっとホッとする。元カノさんが部長の仕事面でも深く関わっていたと思うと、やっぱり嫉妬してしまっていたから。
まぁ、昔の存在にやきもきしても仕方ないのだけど。
「それより、部長っていうのやめないか? 仕事気分が抜けない」
無愛想な声で唐突に言われ、フリフリチキンにかぶりつこうとした私は、口を開けたまま固まった。
たしかに、名前で呼んだ方がさらにデート気分が味わえて、私としては嬉しいけれど、いざ要求されると恥ずかしい。
「じゃあ……坂本さん」
「違う」
あえて苗字で呼んでみたら、被せ気味で返された。
「他のレストランに営業する時に役立つから、厨房の内部事情を教えてもらったりもしたんだよ。旦那の弟っていう特権で、特別にな」
なるほど、それで部長専属だったわけか……。
彼の様子を注意深く観察してみても、嘘をついているようには見えないし、何より私に嘘をつく必要はないのだから、きっとこの話は本当なのだろう。
「本当にシェフだったんですね……」
「何だと思ったんだよ」
部長がほんの少し怪訝そうにするから、私は笑ってごまかした。
でも、ちょっとホッとする。元カノさんが部長の仕事面でも深く関わっていたと思うと、やっぱり嫉妬してしまっていたから。
まぁ、昔の存在にやきもきしても仕方ないのだけど。
「それより、部長っていうのやめないか? 仕事気分が抜けない」
無愛想な声で唐突に言われ、フリフリチキンにかぶりつこうとした私は、口を開けたまま固まった。
たしかに、名前で呼んだ方がさらにデート気分が味わえて、私としては嬉しいけれど、いざ要求されると恥ずかしい。
「じゃあ……坂本さん」
「違う」
あえて苗字で呼んでみたら、被せ気味で返された。