イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
なぜちょっと怖い顔をするんですか。まぁ、私も自分の苗字を言うって変な感じがしたけど。

ということは、名前で呼べと?


「れ……れ、れぃ、じさん?」

「やり直し」


またしても被せ気味で返された。

もー! なんかどんどん恥ずかしくなってくるし!

ふくれっつらをする私を、彼はおかしそうに含み笑いしながら眺めていて。からかっていることが見て取れたけれど、合格をもらえるまで私は名前を呼び続けた。


ランチを食べ終え、観光をする頃には零士さんと違和感なく呼べるようになっていた。今日だけはそう呼んで、特別な気分を味わうことにしよう。

天気の良い土曜日である街中は当然ながら人が多く、自然と私達の距離も近くなる。デートスポットだからカップルも多いし、なんだかそわそわしてしまう。

手、繋ぎたいな……なんて贅沢なことは思わないようにしないと!


「見たいとこあったら言えよ」


私のよこしまな考えなんて知る由もない部長、いや零士さんがそう気遣ってくれて、私は「はい」と返事をする。

そうそう、せっかく東京に来ているんだから買い物しなきゃね。家族やふみかへのお土産以外にも、何か自分用に買っていこうかな。

……と、ショッピングのことへ頭を切り替えて、彼のことを意識しすぎないように努力するのだった。




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