イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
ご褒美デートで五歩前進
たくさんのお洒落なショップを見て回り、疲れたら少しカフェで休憩して、これぞデートという貴重な時間を過ごした。
緊張はいつの間にかどこかへ行ってしまい、ただ彼と一緒にいることを幸せに感じる。不思議だな、こんなふうにしていられることが。
本当にどうして、零士さんは今日を私のために使ってくれているんだろう。ただのご褒美にしては、やっぱり程度が大きすぎると思う。
こんな、恋人にするような特別扱いをしてくれるなんて……これじゃ勘違いしちゃいますよ?
もう外が暗くなり始めた頃になって改めてそう考え、複雑な気持ちになりつつショッピングモールの中を歩いていると、ふいに零士さんが足を止めた。
「悪い、電話」
スマホを取り出した彼は、無表情で短く謝ると、それを耳にあてながらトイレに繋がる通路の方へと歩いていく。
また仕事かな? 休日にまでこんなに電話が掛かってくるなんて、改めて部長である彼の忙しさを実感する。
電話を終えるまで近くのショップを眺めていようと辺りを見回すと、ヨーロッパにいるような錯覚に陥るショッピングモールの中でも、一際輝く場所に目を奪われた。
結婚式場を思わせる、真っ白でエレガントな壁に囲まれた空間にある、いくつかのガラスのショーケース。その中に大切に飾られているのは、遠目でも何かわかる。