イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
自然と足がそこに向いていて、ショーケースの中を覗き込んだ。


「綺麗……」


目の中に星が飛び込んだようなジュエリーの輝きに、感嘆のため息とともに声が漏れた。シルバーと、ピンクゴールドのエンゲージリングが数種類、バラの花と一緒に品良く飾られている。

結婚指輪か……これを好きな人からもらったら、女として最高に幸せだ。私は何度それを夢見たことか。


うっとりしながら、目では無意識に自分好みのデザインの指輪を探してしまう。

一番惹かれたのは、シンプルなストレートのリング。表面のデザインは同じだけれど、女性の方は三つの小さなダイヤが連なった可憐な作りになっている。


「これ素敵……!」


もらうならこんな指輪がいいなぁ、と思いながら眺めていたら、どうやら声に出してしまっていたらしい。


「どちらの商品がお気に召されましたか?」


急に前方から声がしてぱっと顔を上げると、店員さんらしき女性がニコニコしながら立っていた。

はっ、しまった。買うつもりも、予定すらないのに!

ギクリとしながらも、聞かれると勝手に答えてしまうのが私の口。


「あ、えっと、これがすごく好きだなぁと……!」


ぎこちない笑顔を張り付けて、今見ていた指輪を指差した。

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