イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
ショッピングモールを出て、海岸沿いを歩く。右手には綺麗な明かりを放つレインボーブリッジと、遠くに東京タワーが見える。

昼間とはまるで違う景色に酔いしれそうになるも、私の耳に届くのは意地悪な声。


「何を真剣に見てるかと思えば結婚指輪とは、お前の願望は相変わらずだな」


えぇ、返す言葉もございません。

だって、零士さんのことを本当に好きになってしまってから、結婚したいという思いも強くなっているんだもの。自然とマリッジリングを見入ってしまうくらい。


私とは逆に、この人の願望は相変わらずゼロなんだろうな。

そう思うと悲しくなるけど、やっぱりその原因が何なのかは気になる。

お店の中とは違いカップルもまばらな通りを、微妙な距離をとって歩きながら、私は彼に問い掛けてみることにした。


「零士さんは、どうして結婚に夢が見れなくなっちゃったんですか?」


私を一瞥した彼は、ゆっくり前に視線を向け、街灯に照らされる表情は徐々に無になる。

答えてもらえないかも、と思ったものの、開かれた彼の口から意外な一言が飛び出した。


「……原因のひとつは兄貴達かな」

「えっ?」

「兄貴達の夫婦仲がイマイチなんだ」


元カノではなく、お兄さん夫婦が出てきたことに驚いて、私は目をしばたたかせる。

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