イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「……今の状況を乗り越えてこそ、本当の幸せが待ってるのかもしれませんね」


きらめく光を映した瞳を私に向ける零士さんを見上げ、微笑んでみせる。


「結婚してない私が何言うんだって感じですけど。でも、ぶつかって悩んで解り合って……っていうのを繰り返して、家族になっていくものなんだと思うんです。“結婚がゴールじゃない”っていう言葉も聞くけど、そういう意味も含まれてるのかなって」


言いながら、私はバーで零士さんと話した時のことを思い返していた。

あの時、彼は『結婚を甘く見んな』と言っていたっけ。あれは一般論じゃなく、お兄さん達のことがあるから出た言葉だったのかもしれない。

その言葉の通り、他人が家族になるのは生易しくはない。

でも、結婚してもまだまだ長い人生だ。ふたりで生きていくその中で、迷ったり悩んだりする何年かがあってもいいんじゃないかと、私は思う。


「お兄さん達は、幸せになるための階段を上ってる最中なんですよ、きっと。お互いを好きな気持ちと、思いやる気持ちがあれば、必ず解決策が見付かるはずです」


そうなってほしいという想いも込めて、前方の夜景を見据えながら力強く言い切った。

けれど、零士さんからは何の反応もなく、偉そうに言いすぎたかな?と不安になる。

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