イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「あっ、すみません、でしゃばって」

「いや……機会があったらあいつらに聞かせてやるよ、今の話」


見上げた彼の顔は、思いのほか柔らかい微笑みを湛えていて、胸をほっと撫で下ろした。

その表情のまま、彼は優しい口調でこんなことを言ってくれる。


「不思議だな。お前と話してると、自然とプラス思考になる気がする。こんなふうに街を歩くのは久々だし、今日はいい気分転換になったよ」


少しでも彼のためになっているのだと思うと嬉しくて、私の口元も緩んだ。

そっか。零士さんも気分転換したかったから、今日はここまで遠出してくれたんだね。それは納得できるけれど、私がいてよかったのだろうか。


「でも、私がいてよかったんですか? ひとりの方がのんびりできたんじゃ……」

「今日は俺のためだけじゃないだろ。むしろ、お前へのご褒美がメインなんだから。弁当の礼もしたかったし」


ふっと笑みをこぼす彼は、“細かいことは気にするな”と言いたげな声で言う。


「ひとりでこんなとこには来れねぇし、楽しかったからいいんだよ」


ふいに頭をくしゃりと撫でられて、小さな喜びが胸に広がった。楽しんでいたのは、私だけじゃなかったことが嬉しい。

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