イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
いつの間にか私達の距離も縮まっていて、なんだかちょっぴりいいムードが漂っている気がする。


「ひとりより、ふたりの方がいいと思ってもらえましたか?」


綺麗な夜景と、この雰囲気に触発されて、調子に乗ったことを言ってみた。

遠回しに結婚も意味しているのだけど、どんな答えが返ってくるだろうかと、いたずらっぽい上目遣いで零士さんを見つめる。

すると、ふっと笑った彼は、「あぁ」と言って頷いた。

それだけでさらに調子に乗ってしまいそうになる私だけど、彼の言葉には続きがあった。


「その相手は、誰でもいいわけじゃないけどな」

「えっ……?」


意味深な笑みを浮かべて言われた一言で、思わず足が止まってしまう。

“誰でもいいわけじゃない”って……私じゃダメだということ?

それとも、私ならいい、ということ──?


どちらにもとれるような発言で、鼓動が速まり始める。もちろん後者であってほしいけど、そんなことあるわけないとも思うし。

い、いったいどっちなの!?


「一葉」


呼び掛けられてはっとした瞬間、私の手が握られて、彼の方へと引き寄せられた。

一瞬何が起こったかわからず、唖然とする私のそばを、後ろから来た自転車が走り去っていく。

あ、私が邪魔だったのか……。

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