イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
でも、本当に恋に落ちてしまったからこそ、軽はずみに告白なんてできない。あの時の自分が恐ろしいとすら思う。


「ま、それだけ一葉は本気になったってことかぁ」


私の胸の内を覗いたように言うふみかは、なんだか少し嬉しそうに笑っていた。

ふみかは偽装夫婦から本物の恋が生まれたら素敵だ、みたいなことを言っていたもんね。図らずもそうなってしまったよ……私だけは。


東京でのことを、他の社員に聞かれてしまわないようにこそこそと話すけれど、さすがにオフィスでは限界がある。

またユウヤケにでも行ってゆっくり話そうかということになり、ふたりで一緒にオフィスを出た。……が、しかし。


「あ、部長!」


私がその姿を見付けるとほぼ同時に、ふみかが声を上げた。

二階から下りてきた部長が、それに反応して振り返る。私達に気付くと、まだ仕事モードの笑みを浮かべてこちらに近付いてきた。


「お疲れさん。ちょうど坂本に話があったんだが……」


ちらりと目線を向けられたふみかは、それだけでピンと来たらしく、慌ててこんなことを言う。


「あっ、あたしのことならお構いなく! 話はまた今度ゆっくり聞かせてよ」


私ににこりと笑いかける彼女に、部長は「悪いな」と謝った。

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