イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
ひとり舞い上がってしまいそうになる私だけれど、ヨシさんは結構真剣に考えているっぽく見える。


「あ、ヒデちゃんは婿が欲しいって言ってたか。零士はいつでもやるよ」

「俺の意思を無視すんな」


私のお父さん、英寿(ひでとし)のことをヒデちゃんと呼ぶから笑ってしまいそうになるも、隣からビシッと放たれた声で、一気に興奮が治まる。

そうだよ……部長は私と結婚なんて、本気で考えるわけがないもの。お婿さんになんて、きっとなってはくれない。

勝手に浮かれてしまったことを反省し、さらに切なさが押し寄せてくる。そんな私の心情を知るはずもないヨシさんは、部長の一言を軽く笑い飛ばした。


「まぁ、もしそうなってもいいって話だ。うちはもう遥一が嫁さんをもらってくれたからな」


遥一(よういち)さんとは、きっと部長のお兄さんのことだろう。

それを聞いて、今頃になってお兄さん夫婦がいないことに気付いた。


「あの、今日はお兄さん達は……?」


部長の反応を少し気にしつつ問い掛けると、お母様が和やかな口調で答えてくれる。


「今は別のところで暮らしてるのよ。まだふたりの生活を楽しみたいだろうし。子供ができたら、ここへ来てくれた方が桐絵さんも安心かなと思ってるんだけどね」

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