イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
■5th STAGE■
嘘と本音とアルコール
唐突に訪れた坂本一家との食事会から、早くも三週間が経ってしまった。十一月も下旬に入り、曇り空の下には木枯らしが吹いていて、かなり寒く感じる。
私達の関係は、いまだに進展なし。
ふみかには『親にまで会ったなら、もう一回逆プロポーズしなって!』と言われたけど、それでフラれたらこの関係も終わってしまうと思うと、やっぱりまだ勇気が出ないから。いつまでもこうしてはいられないのだけど……。
それに、最近部長の様子が少し違う時がある。難しい顔で何かを考え込んでいるような、ぼうっとしているところをたまに見るのだ。
なんとなく仕事関係ではないような気がするけど、私の気にしすぎかもしれないから、本人にも聞いていない。
そんな調子で、今日の空と同じくスッキリしない心のまま出社した私は、エントランスに入る前に、配送センターに停まっているバンの後方にいる女性に気付いた。
大きな段ボール箱を持ち上げようとしているその人は、作業着姿もサマになっている本庄さんだ。あの荷物、なんだか重そうだけど大丈夫かな?
頑張って抱えようとしている彼女を見て、私はとっさに駆け出す。
「大丈夫ですか? 手伝いますよ」
「……一葉ちゃん!」
上体を屈めていた本庄さんは、反対側に立った私を見上げて目を丸くした。