イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
少し会話を交わし、元カノさんが車に乗り込むと、すぐに部長も踵を返す。こちらへ向かってくる彼から、私も本庄さんも反射的にバンの陰に身を隠した。


「あのふたり……また会ってるなんて」


静かな怒りを湛えた声で言う彼女の隣で、私は必死に動揺しまくる胸を宥める。実際に見てしまうと、やっぱり衝撃は半端じゃない。

ふたりはヨリを戻そうとしているの? それとも、もう──。

何にせよ、今ああやって会っていたということは、連絡を取っていたに違いない。最近、部長の様子がおかしいのはそれが関わっていたりするのだろうか。

動悸がし始め、声も出せない私に、眉根を寄せる本庄さんは意を決したように言う。


「実は、さっき言おうとしたのは元カノのことだったの。この際はっきり言っちゃうけど、ついこの間、配送終わって外で休憩してたら、ふたりがレストランから出てくるのを見て。そのまま、零士の車に乗ってた」


……あぁ、やっぱり会っていたんだ。特別な用でなければ、ふたりでレストランに入って車に乗ることなんてないよね。

もう驚きはなく、気持ちはどんどん沈み込むばかり。


「でも遠目からだったし、確信できなかったから、やっぱり言うのはやめようかと思ったんだけど……」

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