イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
話しているうちに、自然と自分の表情が柔らかくなっていく気がした。

この答えは理想なんかじゃない。すべて本音。

仕事面では厳しい時も多々あるけれど、こんな私の長所を見付けてくれる。

彼がプライベートで見せる、優しかったり、憂いを帯びていたりする表情も、私の胸を強く掴んで離さない。とにかくすべてが好きなのだ。


アルコールが回ってきたのを感じながらぼんやり考えていると、皆がニンマリしていることに気付く。男子陣のそこには少々呆れも混ざっているようだけど。

恥ずかしげもなくノロケてどうすんの……。いや、私が勝手に好きなだけだからノロケではないか……。

羞恥と気まずさに耐えられず、またもやグラスに手を伸ばそうとすると、私の背後の障子が開かれた。


「おーい君達。あんまり坂もっちゃん構ってると、旦那がいじけちゃうぞ」


そこから登場したのは、総務部の佐原部長だ。

緩くうねるブラウンの髪に、整った口元のお髭、緩められたワインレッドのネクタイ。今日もワイルドな風貌の彼は、フレンドリーに後輩くん達の肩に手を回す。

“坂もっちゃん”っていうのも初めて呼ばれたよ。私達のことを知っているくせに、旦那とはっきり言い切っちゃうし……。

微妙な顔で佐原部長を見る私に、彼はアイコンタクトをして意味ありげに微笑む。楽しんでおられますね、やっぱり。

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