イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
部長、あれからまだ会っているのかな。堂々巡りだけど、またそうやって考えてしまう。

ふみかと早乙女くんが話す隣で、なんとなく海老しんじょうに箸を伸ばした、その時。「浮気ねぇ……」と、ぼそりと呟かれた声が耳元で聞こえ、私はビクッと肩を震わせた。

勢い良く振り向けば、私の顔のすぐ横に、若干目が据わっているけど血色の良い綺麗なお顔がある。いつの間に……。


「ほ、本庄さん!」

「その後どう? 問い質してみた?」


日本酒の徳利を片手に、長い巻き髪を横に流した色っぽい彼女は、まさに今悩んでいた件について聞いてきた。

私は俯きがちにゆっくり首を横に振る。


「まだです……」

「そう。今日は飲みなさい」


彼女は私の心境を察したのか、お猪口に日本酒を注いで渡す。すでに結構飲んでしまっているけど、なんだかまだ物足りなくて、言われた通りに熱燗に口を付けた。

本庄さんはおじさんのようにドンッと机に徳利を置き、私にしな垂れかかりながら酔っ払い口調で言う。


「でも男はさぁ、結局奥さんのもとに帰るもんなのよね~。だから万が一されても大丈夫だと思うけど!」

「あ、ハイ……」


励ましてくれているのに申し訳ないけど、私奥さんじゃないんですよーと、もう何度目かの虚しい一言を心の中で呟いた。

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