イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
私の部屋まで送ってくれるの? そこまでしてもらわなくても大丈夫だけど、でもタクシーは行っちゃったし、お礼にお茶でも飲んでいってもらうべき? とりあえず鍵、鍵!

軽くテンパる私は、片手でごそごそとバッグのポケットを漁り、なんとか鍵を取り出す。二階の角にあるそこに着くと、ようやく手が離された。

ドアの前で向き合い、“上がります?”と切り出そうとした私より先に、腕を組んだ部長が、息を吐き出しながら言う。


「お前……早乙女のことどう思ってんの?」

「え? ど、どうって……」


なぜ急に早乙女くん?と思いつつも、とりあえず質問に答える。


「優しくて、いい人だなって」

「好きなのか」

「ちっ、違いますよ! 好きは好きだけど、それは同期の友人としてなので!」


そんなことを言われてギョッとするけれど、ぶんぶん首を横に振ってきっちり否定した。好きな人は部長なのに、誤解されたら困る。


「……アイツは、そうは思ってなさそうだがな」


ボソッと呟かれた一言に、少しドキリとしてしまう。しかし。


「お前に好きなヤツができたなら、この関係は終わりにする。だから遠慮なく言え」


あっさりと告げられた言葉で、早乙女くんのことについて深く考える余裕はなくなってしまった。

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