イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「歯止め効かなかった。……さっきから気持ち抑えてたってのに」


そっと頬を撫でながら、余裕のなさそうな声で言われ、ドキドキが加速する。

さっきから気持ちを抑えていたというのは、どういうことなのかよくわからない。けど、一瞬でも、歯止めが効かないくらい私に夢中になってくれたってことだよね?

あなたの心に、少しは“私”を刻み込むことができているのかな。


「……落ちてくれますか?」


上目遣いで見つめたまま、冗談二割、本気八割で問い掛けてみると。彼は少し意地の悪い笑みをクスッと浮かべる。


「いつまでも“部長”つってんのが惜しい」

「あ」


そうか、しまった。こういう時こそ名前で呼ぶべきだったのだ。ムードのない女め!

自分を叱咤するものの、廊下にビジネスバッグを置いた部長……いや、零士さんの手が、髪を掻き分けながら首の後ろに差し込まれて、意識はまた彼に集中する。

再び顔が近付き、「でも」と言葉を繋げた彼は、甘くとろけるような微笑みで紡ぐ。


「お前なら、一生可愛がってやれそうだ」


──ドキン!と、痛いくらいに心臓が波打った。

告白でも、プロポーズでもないけれど、私にはもったいないくらいの嬉しい言葉。

それに放心しているうちに、二度目のキスが降ってきて。私は彼の胸にしがみつき、その甘い甘い唇を受け止めた。

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