イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
緊急事態多発中
翌週の月曜日、出社して会った部長は、いつもとまったく変わりない態度で接してくる。
私はどんな顔をして会えばいいのかと、休み中気を揉んでいたというのに。やっぱり大人だ。大人で、勝手。
いくら心の中で憎まれ口を叩いても、当然嫌いにはなれず、悶々としながら資料室で頼まれた書類をコピーしていた。
そんな午後二時半、コピー機の前に立って一定のリズムで印刷される用紙をぼんやり眺めていると、ドアが開いて誰かが入ってきた。
「あ、お疲れ様」
「早乙女くん!」
やってきた彼は、今日も癒し系の笑みを見せる。どうやら何かのカタログを取りに来たらしく、十二畳ほどの部屋の壁に設置された棚に向かい、それを探し始めた。
そういえば、まだ忘年会でのことを謝っていなかったなと思い出し、私は印刷された用紙を手に取りながら苦笑する。
「この間はごめんね。酔っ払って迷惑かけちゃって」
「いや、全然。それより……あの後、部長に怒られなかった?」
振り返った彼は少し気まずそうに、というより、何かを探るような感じの上目遣いで問いかけてくるものだから、ドキリとした。
“あの後”と聞いて、思い浮かぶのは彼との熱いキス。その淫らな記憶を奥に押し止め、私は無理やり感のある笑顔で、適当なことを答える。
「だ、大丈夫大丈夫! あの人、すぐ寝ちゃったし」
「本当に?」