イケメン部長と（仮）新婚ライフ!?

部長とキスしてしまったことから、早乙女くんに告白されたことまで、ふみかに話を聞いてもらいたかったものの、彼女はこの日残業らしく、また日を改めることにした。

ひとりで悩みながらアパートに帰り、暖房をつけ、部屋が暖かくなるまでコートを着たままソファーに腰を下ろす。バッグの中からスマホを取り出すと、どうやら着信があったらしく、妹の花苗の番号が表示されていた。

いろいろ考えていたら気付かなかったな。着信があったのは十分前だから、すぐにかけ直してみる。

数回のコールの後、よく聞き慣れた可愛らしい声が聞こえてきた。


『もしもーし、お姉ちゃん？』

「花苗、久しぶり。どうしたの、旦那さんとケンカでもしたー？」


彼女から電話が掛かってくることは珍しくないけれど、最近はSNSでやり取りしていたから、声を聞くのは久々だ。

相談事でもあるのかな、と何気なく聞くと、花苗は甘ったるく言う。


『あいにく、仲良しこよしラブラブでやってます～』

「あっそう。切ろうかな」

『その反応からすると、お姉ちゃんは彼氏なんてまだまだみたいだねぇ』


図星を指されて、仏頂面になる私。それと同じ無愛想な声で話を促す。