イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
どこから説明しようかと考えているうちに休憩が終わり、そのまま話すタイミングを逃してしまい、今に至る。

中谷さんはもう本当に夫婦だと信じ込んでいるよね……。部長が怖いから皆口にしないだけで、ここの人達のほとんどがそう思っていたりして。

困ったなぁと頭を抱えつつ、とりあえずもう一度しっかり否定しておこうと、中谷さんに向き直る。


「あの中谷さん、そのことなんですけど──」

「失礼します! お疲れ様でーす!」


ばーんと勢い良くオフィスのドアが開けられ、弾けるような声が響き渡った。全員の目がその人に集中する。

マロン色に輝く長い巻き髪、大きな猫目とアヒル口。少し派手なお姉様系の、綺麗な女性だ。

薄い水色の作業服を着ているけれど、それすらもオシャレに見えてしまうとはどういうことだろう。


迫力あるお姉様の登場に唖然としていると、彼女はステージを歩くモデルのように堂々とフロアを歩き、一番奥にいる彼に一直線に向かう。


「よかった、部長が外出てなくて。今日もイイ男ねぇ」


部長の背後からするりと両腕を回し、抱きつく彼女にギョッとする私。

えぇ~~あの部長にそんなことができるなんて! しかもこんな面前で……って、また皆見て見ぬフリしてる!

いったいこの人は何者?

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