イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「用件を言いなさい、用件を」

『はいはい。年末いつ実家帰る?って聞きたかっただけなんだけど』


花苗の言葉で、そういえばもう年末かと思い出した。

毎年、年末年始は私も花苗も実家に帰り、家族全員で過ごしている。花苗は旦那さんも連れてきて、元旦は彼の実家に挨拶しに行くのがお決まりだ。

独り身の私は、だいたい三が日までゴロゴロしているのだけど、今年も言わずもがな。

帰る日にちについてお互い話していると、花苗の面白がるような嫌味が飛び出す。


『お姉ちゃんは今年もひとりか。早く見付けなよー、む・こ・ど・の』

「あんた、この件になると途端にムカつくよね……」


私は口の端をヒクヒクさせる。いつもは可愛いげのある妹なのに、結婚とか婿の話になるとまぁ意地の悪いこと。


『本気で心配してるんだって。来年は婚活パーティー行った方がいいんじゃない? 三十なんてあっという間だろうしさ、今から手を打っておいた方がいいって。ただでさえ、条件がお婿さんってだけで範囲狭まっちゃうんだからさ~』


まったく人事だと思って……。ていうか、抜け駆けした本人に言われると本当に腹が立つ。

その後もくどくどと嫌味を言われ、怒りのバロメーターがぐーんと上がっていく。けれど、花苗はそんなことお構いなしだ。

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