イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「急すぎるよ、そんなの!」


不満でいっぱいの声で訴え、ひとまず逃げようとしたものの、私はふと思い出した。

そういえば、部長の実家にお邪魔した時も、ものすごく急だったっけ……。あの時のことを思えば、今週の土曜なんて結構余裕があるような気がしてくる。


『ダメなら他の日にするが、一応相談してみるんだぞ』


意外と無理強いしない今日のお父さんは常識的だなと思いつつ、私は自然と「うん……」と返事をしていた。

……けど、“うん”じゃないよ私! 連れていく相手がいないのに、承諾しちゃダメでしょーが!


「あぁ~お父さん、ちょっと待っ──」

『いやー息子ができるってのもいいもんだな。実は父さんキャッチボールしたかったんだよ~……って、もう子供じゃないってか!』


がはははと笑うお父さん、絶対酔ってるな。

上機嫌すぎる父に若干引いていると、『じゃあよろしくな』と言って、一方的に電話を切られてしまった。

はぁ、花苗に見栄を張ってしまったばかりに……。自業自得だけれど、頭を抱えずにはいられない。


ここはもう、土曜は彼の都合が悪くてダメだということにして延期にするか、本当のことを言って謝るしかないよね。どうしよう……。

盛大なため息を吐き、どちらの選択をすべきか、私はしばらく頭を悩ませた。


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