イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
意気揚々と戻ろうとすると、「あと」と部長が何かを付け加えようとするので、私は再びそちらを向いた。

彼は付箋にさらさらと何かを書き、書類の一番上に貼り付けて私に手渡す。


「ついでにこれをファイルに入れておいてくれ」

「はい、わかりました」


書類を受け取り、自分のデスクに戻ってからそれを確認する。そして、一瞬目を疑った。


“昼休み、会議室に来い”


部長が貼った付箋には、そう書かれていたから。

これは、どう見ても私への秘密のメッセージ。ドキンと胸を鳴らして部長を見やるけれど、彼はこちらを見もせず資料をまとめている。


昼休み、会議室に……って、いったい何の用件で? 仕事のことならわざわざそんなところに呼び出したりしないだろうし、考えられるのはあのキスのこと以外にないのだけど……。

何を話すつもりなのだろう。“あれは魔がさしただけだから気にするな”とか? ……そんなふうに言われたらショックすぎる。


せっかく仕事への意欲が湧いていたというのに、また余計なことが頭の中を占領し始めて、身が入らなくなってしまう。

早くお昼休みになってほしいような、ほしくないような……。

ざわざわとしたものを胸に抱えながら、私は付箋に書かれた綺麗な字を見つめていた。


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