イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
あれこれと思案しながら、パソコンと自社商品のカタログを交互に見て、時間はあっという間に過ぎていった。


家に帰ってからも同じことを繰り返していると、次第にいろいろな案が浮かんでくる。

スライスチーズやハムをハート型にくり抜いて、サラダにトッピングするだけでも、いつもと違った気分を味わえるだろう。それに加えて、新しく出たドレッシングを使ってもらうように提案してみたらどうか、とか。

だんだん考えるのが楽しくなってきて、思い付いたことをそのまま書き連ねたノートは、気が付けば数ページが埋まっていた。


私は企画書というものを出したことがないから、書き方なんてわからない。でも、部長ならきっと、このノートを見せれば汲み取ってくれるはず。

少しは役に立てるといいなと、彼を思い浮かべながら期待を膨らませると、自然と心が丸くなっていることに気付いた。

数日前、泣いたり怒ったりしたばかりだというのに……やっぱり私は彼が好きで、もはや切り離せない存在なのだと実感する。


本当のパートナーにはなれないけれど、せめて信頼できる部下になれるように頑張ろう。

よし、と気合いを入れて、再びペンを動かす。とにかく仕事のことで頭をいっぱいにし、切なさで押し潰されそうになる心をごまかしていた。

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