イケメン部長と（仮）新婚ライフ!?
私は何も聞かなかったフリをして、ノートの見直しをする。席についた中谷さんをちらりと見るも、彼女の様子は特にいつもと変わりない。

妙な緊張感に囚われていると、こちらに近付いてくる小沢さんの姿が視界に入る。


「坂本さん、これ部長に渡しておいてもらってもいい？　急ぎじゃないんだけど、俺土日会わないからさ」


書類が入っていそうな大判の封筒を渡され、私は一瞬戸惑った。

けれど、小沢さんは私達を夫婦だと思っているのだから、こんな頼み事をしてくるのは当たり前。すぐに笑顔を作り、それを受け取る。


「はい、わかりました」

「悪いね。よろしく」


すまなそうな笑みを浮かべ、踵を返す彼を見ながら、いつ渡そうかと考える。

明日は結局食事会をすることになったけど、その時に渡すのもなぁ……。急ぎじゃないとは言っても、仕事の用件は早めに済ませておきたい。

企画書代わりのこのノートも、もう完成する。これも早く見てもらいたいし、今日仕事が終わったら家に寄ってみようか。


封筒とノートを交互に見ながら考えていると、隣から「一葉ちゃん」と声がかけられた。

振り向けば、中谷さんが神妙な顔で私を見据えていてギクリとする。何を言われるのかと構えていると……。

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