イケメン部長と（仮）新婚ライフ!?
きっと彼女も部長に会いに来て、いないから帰ろうとしているに違いない。

それだけ仲が良いということなのか……。間近で見てもものすごく綺麗で大人っぽい人だし、れっきとした自分との差を感じる。

私みたいな平々凡々な女が、あの部長に釣り合うはずもなかったんだ、最初から──。


全身から力が抜けて、彼女が通り過ぎた瞬間、私の手から封筒が滑り落ちた。

地面でバサッと音を立てたそれに、すぐに反応することができず、あっと思った時には、私より先に彼女がしゃがんでいた。


「大丈夫ですか？」

「す、すみません……！」


慌ててしゃがむけれど、元カノさんは笑って「いえ」と言い、封筒を拾い上げてくれる。

そして、封筒に貼っておいたメモになんとなく目を落とした彼女が、アーモンド型のくっきり二重の瞳を丸くした。


「あれっ、あなたも零士くんに会いに来たの？」


“坂本部長へ”という文字を見て気付いたのだろう。

話しかけられたことと、“零士くん”という呼び方にドキリとしつつ、なんとか平然を装って返事をする。


「あ、はい。私部下でして、これを届けに……」


封筒を受け取りお互いに立ち上がると、元カノさんは目を見れないままでいる私の顔を覗き込むようにして、こう言った。

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