イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
結婚願望欠乏症 Side*零士
兄貴の嫁である桐絵は、数年前までは俺の彼女だった。
複雑な関係だが、今となってはすべてが運命だったのだと思える。
ニ歳年上の桐絵と俺は、元は高校時代のバスケ部の先輩後輩という関係だ。
彼女の当時の髪型はオレンジブラウンのボブで、元気で明るい美少女というイメージ。あの頃から、俺を“零士くん”と呼んで、人懐っこく話しかけてくれていた。
その性格と容姿から、桐絵は男女問わず人気で、引く手数多だったのは言わずもがな。そのせいか、ハナから恋愛対象として見ていなかった俺は、特別な感情を持つことはなかった。
そんな桐絵と再会したのは、俺がスマイルで営業の仕事をするようになり、彼女が働くレストランに行った、約七年前。
高校時代とは違う、真剣な表情でフライパンを握る彼女を見て、まずそのギャップにやられた。女性をカッコいいと思ったのは、桐絵が初めてだったかもしれない。
しばらくして営業以外の話もするようになり、外で食事をして、自然とお互いを意識して付き合うことになった。
働く姿は立派でも、無邪気な性格は高校時代と変わっておらず、桐絵といるのはいい意味で気楽だった。
必要以上にじゃれ合ったり、束縛したりもせず、彼女も無理をしないで付き合っていたと思う。