イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
え、え……何ですか!?

今度は視線を逸らせず、どんどん近付いてくる彼から無意識に逃げるように少し身体を引く。


「独り身じゃねぇよ」


本庄さんにそう言い放った部長は、なんと、まさか。

さっき彼女がしたように、背後から片腕を回して、私の肩を抱いてきた。


…………えぇぇーーー!?


あっという間の出来事。叫び声も上げられず、口を開けたまま硬直する私。

周りの社員も、本庄さんも、同じように息を呑んで驚愕の表情を浮かべる。そして。


「守りたい女ができた。だから、お生憎様」


しんと静まり返ったオフィスに、クスリと笑った部長様の、余裕すぎる声が響いた。


うそ……嘘だと言って!

どうして私をイケニエにーーっ!?

唖然とする私に、なんとか動き出した本庄さんが、今にも倒れそうになりながらふらふらと近寄る。ぷるぷる震える指で私を指す彼女は、まるでオバケでも見てしまった時のよう。


「……う、う、嘘でしょ!? この子、あなたの彼女なの!?」

「彼女っていうか、嫁?」


なんですかそのテキトーな感じ! 小首をかしげて、なぜ疑問形にする!?

どうせ嘘つくならもっと自信を持って……って、それもダメだ!

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