イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
それからのふたりは、まるで引き寄せ合う磁石のよう。やはりこのふたりが運命の相手だったのだと納得するくらい、相思相愛っぷりを露わにしていた。

まったく、現金なもんだよ。


それを間近で見ていても嫉妬は湧かず、むしろ呆れるくらいで。なんかもう好きにやってくれよ、といい意味で放っておけるまでになれた。

幸い、両親は俺と桐絵が付き合っていたということは知らない。これからも、そのことは自分達の中だけに秘めていようと、暗黙の了解となっている。

そんな調子なら当然、ふたりが結婚に至るのもとてもスムーズだった。


迎えた結婚式。自分の元カノが、ウェディングドレスを着て兄の隣に立っている。それを親族として眺めるというのは、複雑な心境にならないわけがない。

だが、すでに桐絵への未練はすっかりなくなっている。ふたり揃って結婚の報告をしてきた時も、俺は心から『おめでとう』と言うことができたし。

祝福の気持ちと、幸せな家庭を築いてほしい、その想いは本物だった。


それは、ふたりが結婚三年目を迎えた今も変わっていない。

早く子供を作って、両親のもとで仲良く暮らしてくれたらいい。そう願っているのに──。

結婚前はあれだけ仲睦まじかったふたりから、いつの間にか幸せそうな笑顔が消えていたのだ。

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