イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
愛し方は強行法で Side*零士
忘年会が開かれた金曜日は、予想しない波乱が起こりまくった一日だった。ある意味、俺の転機だったのかもしれない。
あの日の夜、衝動的に一葉の唇を奪ってしまったが、原因はアルコールのせいなんかではない。
宴会場にいた時から、彼女がずっと早乙女と一緒に楽しそうに喋っているのが気に食わなかった。
そんな大人気ない嫉妬は、露わにするつもりなどなかったはずなのに。
いつの間にかふたりがどこかへ消えたと思ったら、ヤツが一葉を抱きしめているではないか。これにはさすがに頭に来た。
あいつは警戒心なさすぎなんだよ。もし俺がいなくて、相手が早乙女じゃなかったら、どうなっていたかわからないだろ。
……いや、早乙女も男だ。ヤツも一葉に気があるようだし、その気になったら抱きしめるどころじゃ済まないかもしれない。
そんな危機感も含め、悶々とした葛藤があってのキスだった。
──だが、数日経った火曜日である今日、ついさっきのこと。
俺は再び彼女の唇を奪った。しかし、これは確信犯だ。
会議室で吐き出された一葉の言葉には、彼女の想いが溢れていて。俺も気持ちを隠していたくなくなったんだ。
一葉が好きだという、単純な気持ちを。