イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
その後、本庄さんはどうにかこうにかオフィスを出ていき、営業部の皆も次第にいつもの落ち着きを取り戻していった。
中谷さんは目が溶けそうなほどニヤニヤしていたけど、私はもう苦笑いすることしかできず……。
あんな宣言されちゃったんじゃ、もう夫婦じゃないと言ったところで何の説得力もないでしょう! どうしよう、これから……。
終始眉をひそめたまま仕事をして、終業時間の六時を迎えた。
営業マンはまだまだ帰ることができないようだけど、中谷さんは用があるらしく、『また明日ね!』と言って足早にオフィスを出ていった。
昼間より少し緩んだ空気の中、部長も席を立つ。まだ帰るわけではなさそうだけど、今が話をするチャンスかもしれない。
部長がオフィスを出た後、すぐに私も後を追う。タイミング良く、周りには誰もいない。
階段を下りようとした彼の腕をむんずと掴むと、驚いた顔がこちらを向いた。けれど、気にせず私はぐいぐいと彼を引っ張っていく。
「坂本?」
怪訝そうな声を出す彼を、営業部の隣の部屋まで連れてきて、そのドアを開けた。
ここは会議室。誰もいないその中へ部長を引きずり込むと、誰も来ないことを確認して急いでドアを閉めた。
私は険しい顔で振り向くけれど、彼はいたって平静な表情で腕を組む。