イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「や……すごく久々だったのよ。生理も不順だったし、まさかその一回でこんなことになるとは……」

「身体の相性も良い証拠だな」


再びズバッと言ってやると、彼女はまた背中を丸めて小さくなった。

要は久々で燃え上がったってことだろ。結構なことで。……つーか、俺はいったい何の話をしに来たんだ。


「何で俺を呼び出すんだよ」


不満げに眉根を寄せる俺に、桐絵はシャキッと背筋を伸ばして、再びテーブルに額がつくくらい頭を下げる。


「ほんっとにごめん!! こんなこと初めてでテンパっちゃって、ひとりじゃいてもたってもいられそうにないし、遥一はいないし~!」

「落ち着け」


急に取り乱す彼女を、冷静に宥める俺。

いくら予期していなかった妊娠だといえ、俺を呼び出すほどじゃないだろ……と思ったが、無理もないかもしれないな。

身ごもるというのは、男には想像がつかないほど、女性にとっては大きな変化なのだろうから。


しばらくして気を落ち着けたらしい桐絵は、ジュースを一口飲んで、ぽつりぽつりと本音を話し出す。


「陽性反応が出た時、一瞬どうしようって思ったの。心の準備もしてなかったから、不安も大きくて。でも……でもね」


そこまで言った彼女は、感極まったように瞳を潤ませる。

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