イケメン部長と（仮）新婚ライフ!?

　＊　＊　＊


兄貴達のことが落ち着いたこともあり、俺の中では一葉を独占したい気持ちが膨れ上がっていた。

俺達は付き合ってもいないし、彼女が誰を想っているのかも定かではない。

『落ちてください、私に』なんて言っても、あいつは酔っ払って俺に求婚してきたくらいだからな。ただ婿になってほしいから必死になっているだけ……という可能性もゼロではない。


だが、そんなことはどうでもいい。一葉は俺を落としたんだ。

『成功したその時は、お前も本当に俺のものになるんだから……覚悟して臨めよ』

そう忠告しておいたこと、もしあいつが忘れていても、俺は必ず有言実行してやる。

たとえ、今俺の目の前にいる男が、彼女の気持ちを揺さぶっていたとしても。



「あんな顔をさせてまで、彼女をそばに置いておきたいんですか？」


早乙女の問い掛けに対する答えは決まっている。


「……そうだよ」


彼女を辛くさせているのは、間違いなく俺だ。だが、そんな彼女を笑顔に変えてやれるのも自分。

そう思っているし……そうでありたい。


「あいつの苦しみも悲しみも、全部俺のものにする。夫婦ってのはそういうもんだろ」


微笑を浮かべて言うと、早乙女はわずかに目を開いた。