イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「零士くん、私と付き合ってたって言ったの?」

「いえ、本人からは何も! 会社の人が、昔桐絵さんを見たことがあったみたいで、元カノらしいって聞いてたんで……」

「もしかして、それで悩んじゃってたり?」


深刻そうな顔で私を見つめる彼女に、少しの間を置いて正直に答える。


「…………結構」

「ごめーーん!! この間も会社行っちゃったもんね、紛らわしいことして本っ当にごめんなさい!」

「い、いえ!」


突然テーブルにおでこがつきそうなくらい、ガバッと頭を下げる彼女に、私は慌てて両手を伸ばした。

桐絵さんって、一見おとなしそうに見えるけど、案外いいリアクションするんだなぁ……。そんなところも親しみやすくて、ちょっぴり笑ってしまった。

乱れた長い髪を直した彼女は、再び落ち着いて言う。


「私が元カノだって知らないなら、わざわざ言うことでもないし、余計な心配かけないように隠し通そうと思ったんだけど、知ってるなら腹を割って話しちゃった方がいいかな?」

「お願いします。むしろ聞かせてください!」


意気込む私に、桐絵さんはふふっと笑い、部長とのことを一から語り始めた。


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