イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「なんだよ、こんなとこ連れ込んで。サカえもんじゃあるまいし」

「茶化さないでください!」


私はキッと睨みつけたまま、部長に詰め寄る。


「なんてことしてくれるんですか、あんな嘘ついて! ちゃんと本当のこと言ってくださいよ!」

「嫌だよ、今さら面倒くせぇ。別に、特に困ることないからそのままでいいだろ」


しれっと言い放つこのブラック上司。なんと無責任な……。

この人が説明する気がないなら私がするしかない。けど、今さら否定したところで、中谷さんみたいに『照れなくていいのに』ってあしらわれて終わり、っていうのがオチのような気がする。

仏頂面をする私に、部長は腕を組んだまま淡々と言う。


「本庄以外にも女には手を焼いてたんだよ。アイツは何言っても引き下がらないから、これは論より証拠だなと」

「デタラメの証拠見せ付けてどーすんですか!」


怒ったようにつっこむと、彼はまったく反省していない様子で、ははっと黒い笑いをこぼした。


「どうせ俺達が夫婦だって噂になってんならいいじゃねーか。女除けになるから助かる。お前だって、曖昧なままでいろいろ噂されてるのも嫌だろ」

「そう、かもしれませんけど……!」


だからって、あんなにはっきり宣言して後で嘘だってバレたら、それこそ大問題でしょうに!

ていうか、ちょいちょいモテて困るぜ的な発言を挟んでくるのがまた嫌味な……。まぁモテるのは当然だろうから、そこは文句言えないんだけど。

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