イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「家族に甘えたり、助けを求めたりするのは何も間違ってないし、それに応えるのも当然だと思います。……羨ましいです。そんな関係になれることが」


元恋人というと、どちらかに未練があるんじゃないかと、どうしても疑ってしまっていた。ふたりの事情を知るまでは。

今話を聞いた限りでは、お互いが家族として認識し合っているように思う。

そして、そんな信頼関係を築けていることが羨ましい。私も、部長と深い愛で繋がりたい──。


あー、結婚願望を膨らませてどうするの。こんな願いは持つだけ無駄だっていうのに……。

部長と桐絵さんとの間には、もう恋愛感情がないということはわかったけど、それでも偽装夫婦は終わりにすると言われているのだ。タイムリミットは迫っているはず。

表情を曇らせる私だけれど、それを払拭するように桐絵さんは笑顔を見せる。


「一葉さんならなれるわよ。こんなに心が綺麗で魅力的なんだもの、零士くんが放っておくわけがない」


なぜか自信たっぷりに言う彼女。でも、その言葉は私にはもったいなさすぎて、ぷるぷると首を横に振った。


明日は予定通り、私の両親と会う。

彼が何を考えているのかわからないし、どうなるのか検討もつかない。

悶々としながらも、それからしばらく桐絵さんとの貴重なひと時を楽しんでいた。


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