イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「新婚生活邪魔すんなって言ったんだから、アイツらもおとなしくしてるだろ」

「部長には怖くて皆何も聞かないだろうけど、私は違うんですからね? ……って、まだ話終わってません!」


さりげなく会議室を出ていこうとした部長の腕を、再び掴んで引き留める。

思いっきり面倒臭そうな顔しているけど、こんなことになったのは誰のせいだと思っているんだろうか。まさか部長が、仕事以外ではこんなにテキトー人間だったとは!


「部長はうまくやり過ごしていけるかもしれませんけど、私は毎日どんなふうにしていれば……」


先が思いやられすぎて、彼の腕を掴んだままうなだれる私。

だって、絶対いろんなことを聞かれるに決まっている。いつ出逢って、どこが好きになって、プロポーズはどんな感じだったとか、新婚生活はどうだとか……。

営業マン達はたいして気にしないかもしれないけど、女性社員や、あの本庄さんがあれで引き下がるとも思えないもの。


深い深いため息を吐き出していると、黙って何かを考えていた部長が、こんなことを口にする。


「……お前が結婚生活で旦那に望むことは?」

「へ?」


突拍子もないことを言われ、私はぽかんとして彼を見上げた。目線の先にある真意の読み取れない漆黒の瞳は、私をじっと見下ろしている。

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