イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「じゃあ、どうして今の今まで言わなかったんですか? いきなりプロポーズって、心臓に悪いです……」


想いを確かめ合って、恋人になってからプロポーズをするのが、きっと一般的な順序。もっと早くに気持ちを伝えてくれていてもよかったはずなのに。

決して文句があるわけじゃないけれど、単純に理由が気になる。

いたずらっぽく口角を上げた零士さんの答えはこうだ。


「俺の気持ちがわかってたら、プロポーズのサプライズ感が薄れるだろ。一葉のひょっとこみてーな驚く顔も見たかったし」

「何気にヒドい」


たしかにものすごく威力のあるサプライズだったけど、私そんなに変な顔していたんですかね……。

ちょっぴり肩を落としていると、反抗心みたいなものが生まれてくる。


「私が断る可能性だってあったのに、よく大胆なことしましたね」


口を尖らせて、少し嫌味っぽい口調で言ったものの、彼の余裕さは変わらない。


「そんな気なかったくせに。この間会議室で話した時、お前の言葉は“好き”って言ってるように聞こえたぞ」


ドキリ、と心臓が動く。

あの時零士さんが、『お前の気持ちはわかってる』と言ったのは、“偽装夫婦を終わらせたい”という私の気持ちを汲み取ったのだと思っていた。

でもそうじゃなくて、“彼のことが好きだ”という気持ちがバレバレだったわけね……。あぁ、なんかすごく恥ずかしい。

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