イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「それに、俺も断らせる気なんてなかったから」


してやられた気分でうなだれていると、零士さんの力強い声が聞こえてきた。

さすが自信がおありで……。あっぱれだなと、もはや感心していると。


「今日両親に挨拶したのはそのためだよ。お前を逃げられなくするため」


謎だった彼の思惑を打ち明けられて、そうか!とピンときた。


「だから『終わりにするのは土曜の後だ』って言ったんですね!?」


はっとして彼を見上げれば、やっぱり不敵な笑みを浮かべている。

両親に結婚の意志を伝えてしまえば、私はもう後に引けなくなる。そうすれば、きっと私は断れないだろうと踏んだ、ということか……。なんと恐ろしい強行手段!

顔を引きつらせる私を一瞥した彼は、涼しげな表情できっぱりと言い放つ。


「俺が社員から何て呼ばれてるか知ってるだろ。欲しいもののためなら手段は選ばない」


さ、さすがはブラック部長様……ここまでするとは思いませんでした。

でも、そうまでして私を欲しがってくれたということ。その気持ちはやっぱり嬉しい。


「……ようやく零士さんのものになれて、本当に幸せです」


繋いだ手にギュッと力を込め、前を見たまま言い、温かいため息を漏らした。

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