イケメン部長と（仮）新婚ライフ!?
「迷惑極まりないですね、あらぬ噂を立てられちゃ」


大好きな人の落ち着いた声が聞こえたかと思うと、私達の間にその人物が現れて、ぱっと振り仰ぐ。いつの間にか話を聞いていたらしい零士さんだけど、やっぱりまったく動じていない。

そんな彼を見て、中谷さんにはホッとしたような笑顔が生まれる。


「そうよねぇ！　奥さんしっかり守ってあげてよ、部長」

「当然です」


ぽんっと背中を叩かれた零士さんは、不敵な笑みを浮かべてそう答えた。

あぁ、私にも少しその余裕を分けてほしい……。

軽い足取りで先にオフィスに戻っていく中谷さんを見送り、私は不安げな瞳で彼を見上げる。


「皆、丸山さんが言うことを信じちゃってたらどうしましょう……」

「何も心配する必要ねぇだろ。堂々としてろ」


私の頭にぽんぽんと手を乗せ、彼もオフィスへと歩き出す。

そう、堂々としていなければますます疑われてしまう。だから気にしないようにしなければ……と自分に言い聞かせて、私も後に続いた。


しかし、丸山さんが社員とコソコソと何かを話しているのが気になってしまう。どうしても私達のことを言っているような気がしてしまって。

仕事の件で零士さんと話していても、営業マンからの視線をビシバシ感じるし……。

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