イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
土曜日の夜、ベッドで愛し合った後、零士さんの腕の中で余韻に浸っている時だ。私が大事なことを思い出したのは。
* * *
「あぁぁ! 大変です、部長!」
「何で“部長”に戻るんだよ」
裸のままガバッと上体を起こした私を、彼は冷めた目で見上げる。会社でのことを思い出したら、つい普段の呼び名が出てしまった。
それより、昨日丸山さんが給湯室で話していた件と、早乙女くんに気付かれてしまったことを伝えなくちゃ!
かくかくしかじかと説明すると、零士さんは悪巧みするように口の端を上げる。
「俺を甘く見るな」
「え?」
そう言うや否や、裸のままベッドから出てしまった。露わになる引き締まった身体を目にして、今さらながらドキッとしてしまう。
なんとなく毛布の中で膝を抱えて丸くなっていると、またベッドに戻ってきた彼が、ガサリと一枚の紙を私に掲げる。
「今すぐ、これにサインしろ」
強引な一言と、茶色の文字が飛び込んできて目と口を開いた。
それは──なんと本物の婚姻届。しかも、零士さんの方はすでに記入されていた。
「ぅえぇーーっ!?」
用紙を奪い取って、私が雄叫びを上げるのは容易に想像していただろう。零士さんはおかしそうにククッと笑う。
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「あぁぁ! 大変です、部長!」
「何で“部長”に戻るんだよ」
裸のままガバッと上体を起こした私を、彼は冷めた目で見上げる。会社でのことを思い出したら、つい普段の呼び名が出てしまった。
それより、昨日丸山さんが給湯室で話していた件と、早乙女くんに気付かれてしまったことを伝えなくちゃ!
かくかくしかじかと説明すると、零士さんは悪巧みするように口の端を上げる。
「俺を甘く見るな」
「え?」
そう言うや否や、裸のままベッドから出てしまった。露わになる引き締まった身体を目にして、今さらながらドキッとしてしまう。
なんとなく毛布の中で膝を抱えて丸くなっていると、またベッドに戻ってきた彼が、ガサリと一枚の紙を私に掲げる。
「今すぐ、これにサインしろ」
強引な一言と、茶色の文字が飛び込んできて目と口を開いた。
それは──なんと本物の婚姻届。しかも、零士さんの方はすでに記入されていた。
「ぅえぇーーっ!?」
用紙を奪い取って、私が雄叫びを上げるのは容易に想像していただろう。零士さんはおかしそうにククッと笑う。