イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
呆然としながら婚姻届を見つめていると、ベッドに腰掛けた零士さんが用紙のある部分を指差す。


「証人は兄貴達に頼んだ。今朝、お前を迎えに行く前にあいつらの家に行ったんだが、喜んで引き受けてくれたよ。その時に、桐絵からお前と会ったことも聞いた」

「そうだったんですね……!」


示されたところを見てみれば、たしかに桐絵さんと遥一さんの名前がある。ふたりが証人になってくれたというのは、なんだか感慨深くて、心が温かくなった。


「ヨシさん達にも報告したんですよね?」


ここまでするということは当然了承を得ているんだろうけど、と思いながら確認すると。


「親父から、『一葉ちゃんが婿候補を連れて来るらしいぞ』って聞いた時に、『それ俺』って言っといた」

「そっ、その時から!?」


意外な事実が飛び出して、私は驚きで目を丸くする。

だって、お父さんからその話を出された時点で、零士さんの作戦は始まっていたということだもの。この時から、すでに私には拒否権なんてなかったのだ。

彼は「外堀固めておくのは鉄則だ」と言ってしたり顔をするから、開いた口が塞がらない。

なんて大胆なやり方……。付き合ってもいないのに結婚に向けて動いていたなんて、誰が予想できただろうか!

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